太陽系外 Hot Jupiter は大気が加熱されてふくらんでいる
→ 中心星放射 + 内部加熱 (これを切り分けるのが難しい → トランジットから正確な密度を求めるのが難しくなる)
気づいたこと:
中心星放射が 2*10^8 erg/s cm 以下だと、中心星放射のみの惑星半径のふくらみ以上の惑星が存在しない
→ 中心星放射が小さい場合は内部加熱など、他の要因による惑星大気の加熱の効果がみられない
*これはなぜ?理論的に consistent になっているの?
F < 2*10^8 の惑星(14個)だけを使って、惑星のコアサイズなどを見積もった
見積もりの方法:
重金属が全てコアに入っていて、大気には入っていない(二層モデル) ← 土星はこっち
重金属が全て惑星全体にばらまかれ、全て大気として対流している(一層モデル) ← 木星はこっち
の量極端な場合を考えて、現実はその間にあるとして見積もる
分かったこと:
全ての Hot Jupiter は 10M+ 以上の重金属(コア)を持っている(コア集積モデルと consistent)
質量が大きい惑星ほど重金属の量が多い
質量が大きい惑星ほど Zpl/Zstar が小さい
タイタン大気について
分厚い N2 大気を持っている
カッシーニ探査によると、始原的な 36Ar の量が少ない
→ N2 は less volatile な物質(おそらく NH3)から生成された二次大気起源のものである
過去に提案されていた NH3 → N2 のメカニズム:
光化学反応・大気の衝撃波加熱・天体内部での生成
→ これらは全て長期間の “warm Titan” を必要とする
しかしカッシーニ探査によると、タイタン内部は未分化であり、長期間にわたる “warm Titan” は実現しそうにない
そこで Late Heavy Bombardment による彗星衝突で、タイタンの NH3 を分解し N2 を作ることを考える
*NH3-H2O から N2 を生成する衝突実験*
様々な peak pressure のもとで衝突実験を行った
NH3-H2O の concentration にはあまりよらず、peak pressure の値に比例して生成される N2 の量が増えた
Titan 付近の微惑星の衝突(数km/s)では十分な N2 生成は行われないが
LHB で降ってくる彗星の衝突(>10km/s)では N2 が十分に生成される
*SPH による衝突計算*
衝突直下点では完全な N2 degassing が起き、その周辺でも部分的な N2 degassing が起きる
生成した N2 の大気・地面間の分配や、衝突による escape も考慮して N2 の生成を計算した
タイタン大気の初期条件として2つの場合を考えた
・冷たく薄い大気 → LHB により十分な量の N2 を生成することができる
・暖かく厚い大気(N2, CH4 含む)→ LHB によりもともとの N2 大気が新しく生成された N2 大気と入れ替わる
以上の衝突起源説は、36Ar の量も説明できる
ガニメデ・カリストでは NH3 がなかったために N2 大気が生成されなかったと考えられる
冥王星やカロンでは衝突速度が小さくて十分に N2 を生成できないので、冥王星の N2 大気はタイタンとは異なり始原的なものだと考えられる
ただしこの説でもタイタンの高い 15N/14N の起源については説明できない(始原的な大気でないと説明できない)
→ 酸素同位体のように、N についても原始太陽系円盤の中で同位体の不均一性があったのではないか?
最近の研究で月には小さな鉄のコアがあることが示唆されてきた
複数の地質観測からもコアの存在が支持されてきた
今回アポロの地震計データ(深発地震)を改めて解析することで、月の内部構造についての情報を引き出した
地震波のデータから月の内部に以下の4つの境界が存在していることが分かった
・PMB(partial melt boundary):480±15km
・CMB(core mantle boundary):330±20km
・ICB(inner core boundary):240±10km
(つまり月のコアは40%ほどが固化していることになる)
月のコアの割合:330/1740 ~19%半径
地球のコアの割合:2900/6400 ~45%半径
月の outer core の温度勾配を見積もると、subadiabatic なので安定な成層構造であることが予想される
→ 対流が起きずダイナモが存在しないことと調和的
月の構成物質を仮定してマントル下部の温度を見積もるとおよそ 1650K 以上
→ この温度(融点)と調和的な outer core 中のイオウ(軽元素として)の量は 6wt% 以下
地球の軽元素の量はおよそ 10wt% なので、それよりも少ない
→ 月の火成岩に volatile の量が少ないことと調和的・また月が giant impact でできたことともおそらく調和的
*月の内部構造がこれほど正確にわかったことに素直に驚き
*思ったよりコアあるなー
*月のコアは giant impact 時にどうやって確保する? from impactor or target?
*N体計算でこれぐらいの量は簡単に獲得できるような結果になってたっけ?
*アポロのデータを使ってやれることってまだまだあるんだね
*そういえば斎藤くんのアポロの熱流量データは間違っていた論文はどうなった?まだどこにも publish されてないけど?
Kepler-11 の惑星について
6つの transit 惑星を検出(b, c, d, e, f, g)
系の軌道が完全に coplanar ではない(惑星間で最大で1-2°ほど i が異なる)
離心率も軌道傾斜角も非常に小さい
中心星の質量:0.95±0.10Msolar 半径:1.1±0.1Rsolar(地上望遠鏡で観測)
複数の惑星が近い距離で回っている場合、Transit Timing Variations からそれぞれの質量が見積もれる
→ inner 5 planets(b, c, d, e, f)について質量を見積もった(全ておよそ super-Earth - Neptune サイズ)
最遠の惑星(g)だけ離れた軌道を回っているので、TTV から質量を決めることができない
→ false-positive ではないことを慎重に確認したうえで、質量の上限を見積もった(1木星質量以下)
11-b と 11-c は 5:4 軌道共鳴付近に位置していて、強い相互作用を及ぼしあっている
ただし系全体がが互いに low-order の MMR にロックされてはいない
長期間の軌道安定性をざっくりと解析した結果、11-b と 11-c のペア以外は安定条件を満たしていることがわかった
→ このふたつも他の惑星からの影響が弱いので、一応安定であるらしい
しかし数十億年も安定でいられるかどうかはわからない
惑星の質量と半径から密度を見積もった結果
11-d, e, f:大量の H ガスをまとっている
11-b, c:氷に富んだ惑星 and/or H/He mixture
であると推測される
11-b, c は以前は水素大気をまとっていたが、中心星からの強いEUVによって大気を散逸して現在に至った可能性がある
*中心星の近くにいる惑星の mass-loss process はもっと詳細に研究していく必要がある
*内側にコンパクトに惑星系が存在している → migration で集まったと考えられる
*i, e が全て小さい & 円盤ガスをまとっている(まとっていた)惑星ばかり → 円盤ガスや微惑星破片がある状況で惑星形成・移動が完了したことを示唆?
*互いに MMR に入っていない → ガスが晴れた後に軌道が乱れたことを示唆?
*Ogihara & Ida では i, e の小さなガス惑星を内側でコンパクトに作ることはできない(はず)
*しかしその場形成だとするとかなり重い惑星系円盤を用意する必要がある・・・
*super-Earth が円盤ガスをまとう&脱ガスで大気をまとう → どの程度 “gas-rich” な惑星になり得る?
木星トロヤ群の表面の分光観測で過去に分かっていたこと:
枯渇彗星の核に似ている(porous な silicate 分布)→ P or D type の小惑星に似ている
S型小惑星などとは全く異なる
固体の氷は表面には存在しない
基本的に表面は「赤い」が、一部 grey な表面を持つトロヤ群の族もいる → これらは C type 小惑星に似ている
木星トロヤ群形成に関する2つのシナリオ:
もともと木星軌道にいた天体が残っている
KBOが落下してきてトラップされた(Niceモデル)
→ 木星トロヤ群の composition が大きく異なってくるので、観測で表面の composition を調べるのはとても重要
本研究:IRTF SpeX で7つの木星トロヤ群を観測
先行研究で観測された 1μm band の iron-bearing シリケイトによる吸収が全天体において見えない
本観測の方が解像度も SN もはるかに良い
→ 先行研究の結果は unreal である
7つ中1つだけ可視光でも近赤外でも grey なスペクトルを示すトロヤ群がいた
→ これだけ特殊? grey なトロヤ群の族の代表?
さらに4つの可視光で grey なトロヤ群を観測
→ 隕石と比較すると、炭素質コンドライト CM2 隕石と非常に似ていることがわかった
→ やはり C type 小惑星に似ている
1μm band の吸収が見えないこと、トロヤ群の軌道(5AU以遠)、炭素質コンドライトに似ていることなどなど
→ 木星トロヤ群は iron-poor で炭素質な composition である
*ただし 1μm 吸収が無いことは、他の原因でも説明可能なので微妙
炭素質な隕石には水質変成が見られるが、木星トロヤ群には水質変成による吸収スペクトルは見られなかった
→ 最も特徴的な吸収が見える 2.5μm まで観測できていないため見えていないだけ?
→ もっと広い波長で観測していく必要あり
宇宙風化作用の影響:炭素質な小惑星の場合、宇宙風化によって赤化するという研究と、フラットなスペクトルになるという研究がある
→ 今回の観測で木星トロヤ群の表面がフラットだったことが宇宙風化作用とどう関係があるのか、現段階ではわからない
→ icy or organic-rich な物質に対する宇宙風化作用について、さらに実験等を行う必要あり
*結局のところ何もはっきりとわからない
*トロヤ群の分光観測が少なすぎることが最大の原因?どこまでデータを増やせば、木星軌道天体 or KBOトラップ の区別ができるようになる?
*S型以外の宇宙風化作用については、まだまだわかっていないことが多いらしい
http://arxiv.org/abs/1101.5167v1
土星の周惑星円盤で衛星を作ると、タイタンサイズの衛星が複数できることが多い
→ 最後に内側の巨大衛星をうまく土星に落としてあげないと巨大衛星1個の系が作れない
Type I で落下した衛星が Roche limit 以内に入ったとき、未分化な衛星であれば完全に破壊される
タイタンサイズの衛星であれば、集積エネルギーと潮汐加熱で十分に分化することが可能
→ 外側の氷の層が破壊され取り除かれると、衛星の密度が上がり壊れにくくなる
→ 内側の岩石の層は破壊されないまま土星に落下
Roche limit 付近で壊れて散らばった氷は、次世代の衛星に集積・散乱されて無くなる
→ 最後の1個がばらまいた氷だけが Roche limit 付近に残ることになる
SPH simulations で Roche limit に入った衛星の破壊を計算
→ 大量の氷が Roche limit 付近にばらまかれる(現在のリングの質量より桁で大きい)
→ その後の進化(内側に動いて土星に落下 or 外側に動いて衛星として集積)を経て氷が減少
→ ざっくり見積もると(Ward & Cameron, 1978; Daisaka et al., 2001)45億年でちょうど現在のリング質量まで減る
Roche limit の外側付近で氷が集まって衛星が形成される(地球の月のように)
→ ざっくり見積もると Tethys と同程度の質量の衛星が形成される
→ 大きくなると潮汐で外側に動くので、再度 Roche limit 付近で新しい衛星が形成される
→ 先に外側に動いた衛星は外側の rocky な成分も集積するため、rock/ice 比がより内側の衛星よりも高くなる
土星の氷リングは45億年間で rocky な物質に少しずつ汚染されてきたはず
→ pure ice にわずかに rocky 成分が加わったものが現在のリングを構成している
先行研究では、現在のリング質量 = original なリング質量 としていたが、本研究では 現在のリング « original なリング
→ rocky 成分による汚染の程度についての見積もり方が大きく変わる
*どうしても衛星が2つ以上できてしまうことを逆手にとって、うまいことリングを作っちゃった研究
*リング質量の進化を見積もっているところが、この研究のキモ → この見積もりが正しくないと全てダメになる
*とりあえず Daisaka et al. (2001) を読んで今回の見積もりの妥当性をきちんとチェックしておく必要あり
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature09661.html
木星・土星・天王星・海王星の放射対流大気モデル(時間進化入り)を解いて、大気の情報についての表を作る
先行研究:
木星大気の熱進化モデルは、46億年の進化と現在の大気とで調和的
土星はモデルから予想されるよりも暖かい → ヘリウムと水素の分化エネルギーが熱源?
天王星と海王星はモデルから予想されるよりも冷たい → 昔から冷えてる?対流しない stable layer が内部熱の flux を抑え込んでいる?
→ 最近新しい氷の EOS を用いることで海王星はモデルと一致、しかし天王星はそれでもまだ冷たすぎる
本研究:昔のモデルよりもはるかにバージョンアップ(2章参照)ただし雲の効果はモデルに入れていない(雲の特徴がほとんど何も分かっていないので)
→ 雲無しの計算結果が現実と調和的なので、まあよいのでは
木星と海王星の P-T をほぼ完璧に再現
様々なパラメータの下での atmosphere grids を求めて一覧表として提示
→ これを使って大気の熱進化を解き直す
木星の熱進化:先行研究4.5Gy が本研究5.3Gy に延びたしかもヘリウムと水素の分化が起きていると、さらに冷却に時間がかかるので、年齢がさらに延びる
→ 実際には EOS の不定性などがあるので、なんとも言えない
土星の熱進化:先行研究同様、2Gy 程度の年齢を示す(=現在の大気が暖かすぎる)
→ ヘリウムと水素の分化エネルギーで温められているのであろう
天王星の熱進化:先行研究と同じモデルで EOS を更新・新しいモデルで EOS も更新
→ どうやっても先行研究同様、昔から冷たい結果になる
海王星の熱進化:先行研究と同じモデルで EOS を更新・新しいモデルで EOS も更新
→ いずれの場合も先行研究と異なり、十分温かい初期状態を示す
天王星と海王星については、さらに内部構造モデルを更新して計算
→ 海王星は consistent、天王星は inconsistent な結果は変わらず
新しい atmosphere grids を用いた場合のまとめ:いずれにしても slower cooling になる(冷却により時間がかかる結果となる)
高圧での EOS を精確に決めることが、巨大惑星の熱進化を追う上で最も重要である
*ヘリウムと水素の分化の問題、EOS の決定の問題、内部の stable layer の問題、などなど今後やるべきことは多い
*系外巨大惑星について考える際にも、まだ太陽系の巨大惑星についてすらよくわかっていないことを忘れないようにしたい
http://arxiv.org/abs/1101.0606v1
星の一生の最後に惑星はどうなるか、をひととおりに議論
・RGB phase での惑星の飲み込まれ・生き残りを計算(國友の計算と同じような感じ)
中心星の潮汐で、中心星半径より遠くの惑星も飲み込まれる
Mstar = 1, 2, 3, 5Msolar と Mplanet = 1, 3, 5 Mjupiter で生き残れる minimum radius を計算
→ Mstar が大きいほど飲み込まれにくく(星の半径が小さい)、Mplanet が大きいほど飲み込まれやすい(潮汐力が大きい)
・AGB phase について定性的に考察
RGB, AGB をどちらも生き延びた惑星の軌道長半径は、中心星の質量損失の分だけ外側に広がる
(実際には AGB phase についてわかっていないことが多すぎてまともに議論できない)
・planetary nebulae phase での high energy winds による大気はぎ取りを検証
中心星質量と惑星の位置をパラメータにして、大気散逸のフラックスを計算
(*より正確にはハイドロダイナミックエスケープを真面目に解く必要あり)
・観測について
Giant Star の周りでは close-in 惑星が見つかっていない(close-in 以外は太陽質量の星よりも存在確率が高い)
→ 内側の惑星が中心星に飲み込まれたためだと思われる
中間質量の星の周りで惑星検出率が高い
→ 中間質量の星の周りで惑星形成率が高いことを示唆している?
白色矮星の周りの直接撮像で褐色矮星や惑星を見つけたい
→ 今回の計算をもとに、存在できる惑星の最小軌道長半径を予測:もとが 2.5Msolar の星で 15AU 以遠なら生き残る
太陽系:5AU以遠で生き残る → 木星がかろうじて生き残るかどうか
*國友の研究と合わせて議論したい
*結局中間質量の星については、惑星飲み込みだけじゃ説明できない、ってことでいいのかな?
http://arxiv.org/abs/1101.1773v1
中質量星(1.5-5.0 Msun)の周りの惑星探しは、難しいがそのぶん魅力的である
これまでの観測で、これらの周りには重い惑星(m>5Mjupiter)の存在確率が高いことが示唆されている
(伴星が褐色矮星である場合は特にその確率が高い)
中質量星では星の周期的な活動と惑星によるドップラーを見分けるのが難しい
中質量星でも、太陽型星と同様 metalicity dependence(Fe/H が大きいほど惑星の存在確率が大きい)が見られた
ν Oph の周りには褐色矮星が2つ回っていることを示す観測結果が得られた
→ 複数の褐色矮星系は初めての発見
しかもこれらの褐色矮星は6:1の軌道共鳴に入っている
→ 円盤内で形成されて、migration によって共鳴にトラップされた?
→ 褐色矮星(あるいは “super-planets”)を惑星形成と同じメカニズムで作れる可能性
http://arxiv.org/abs/1101.0615v1
transiting hot Jupiter WASP-12b について
過去の観測でわかっていたこと:
T=3000K @1bar
CH4, CO, H2O の emission が見られる
emission の強さは CH4, CO > H2O
本研究:
様々な C, H, O の存在比をパラメータ(太陽系の値から1-2桁ほどふった)にしてそれぞれの大気の可能性を検証
大気の温度については w and w/o inversion の2種類を計算
化学平衡についても eq and non-eq の2種類を計算
結果:
H2O が極めて少ない CH4 がかなり多い
C/O = 1(太陽系では C/O = 0.54)
Thermal inversion はほとんど存在しない
(Hot Jupiter は普通 thermal inversion を持つはず → なぜ super-hot な WASP-12b が持たない?高い C/O が関係している?)
昼側から夜側への熱輸送効率はかなりよい
Host star の C/O は太陽と同程度
→ WASP-12b のコアは氷ではなくグラファイトやダイヤモンドである可能性
→ C が過剰に存在している領域で形成?全く新しいメカニズムで形成?
過去の系外惑星大気モデルでは太陽系の C/O を仮定している場合が多いが、C/O >= 1 の場合も考えるとさらに惑星大気の多様性が増す
*観測結果とモデルの物理が十分信頼できるものであれば、この結果は大きな発見
*一般的な惑星大気の形成・進化メカニズムを論じるうえで、WASP-12b がとても重要な天体になるかも
http://www.nature.com/nature/journal/v469/n7328/full/nature09602.html